目次
成約
(1)定期付終身保険 保障2,000万(終身100万、三大疾病500万、介護保険500万、定期保険900万・入院1回20万)
(2)年金 65歳年金開始(年額60万)
(3)医療保険(入院1回30万円)×8件
(4)定期付終身保険 保障2000万(終身100万、三大疾病500万、身体障がい1,200万、介護200万、入院一回30万)
顧客属性
(1)35歳男性・機械プレス工場マネージャー・年収600万・配偶者と子供(5歳の娘)、若いがマネージャーとして労働者の管理を任されており、工場のキーマンで義理堅い性格
(2)32歳女性 精密機器工場正社員・年収350万・配偶者と子供(5歳の娘)、①のお客様の妻であり、父親に先立たれた母の暮らしを見て自身の老後を心配している
(3-1)50歳男性・機械プレス工場労働者・年収220万・ベトナムに配偶者と息子1人あり
(3-2)44歳男性・機械プレス工場労働者・年収200万・独身でベトナムに両親あり
(3-3)37歳男性・機械プレス工場労働者・年収200万・ベトナムに配偶者あり
(3-4)35歳男性・機械プレス工場労働者・年収200万・ベトナムに配偶者と息子2人あり
(3-5)33歳女性・機械プレス工場労働者・年収200万・ベトナム人だが、日本人と結婚し、永住権を得る
(3-6)29歳男性・機械プレス工場労働者・年収200万・独身でベトナムに両親あり
(3-7)27歳男性・機械プレス工場労働者・年収200万・独身でベトナムに両親あり
(3-8)25歳女性・機械プレス工場労働者・年収200万・独身でベトナムに両親あり。夜はスナックに勤務 ※(3)の医療保険は従業員22名中8名から成約
(4)27歳男性・食品工場の正社員・年収450万・配偶者(最近結構)、配偶者の両親と同居
顧客との面談までの経緯
出会ったチャネル
ベトナム出身の友人が働いている工場があり、その友人がこの方を経由して総務担当を紹介してくれたため、定期的に訪問できる職域となり、知り合った。
初めはアンケートやお菓子を配って挨拶をするくらいの関係だったが、ベトナム出身の職場の皆さんにベトナム語でお礼の手紙を書きたいという「素直な気持ち」を伝え、許可を頂いた。
営業担当として全員に感謝の気持ちを伝えるには、手紙を手渡しした方がいいと思ったとのことです。
実際の会話
ご自身「いつも訪問時に従業員様の邪魔ばかりしているのに、皆さん笑顔で挨拶してくださるので、お礼の気持ちを友人にベトナム語を教えてもらいながら手紙にして一人一人に渡したいが、そういうことをしてもよいか?」
顧客「社員でさえ、今までにベトナム語でお礼の手紙を書きたいと言ってくれた人はいなかったから、感激した。是非手紙をあげて欲しい。また、そういうマインドの人には頑張って欲しいので、協力できることがあれば協力する」
派生
ここでの信頼の獲得により、配偶者の紹介とベトナム人の労働者、後輩を紹介して頂いた様です。
口頭での挨拶では伝わらない想いをカタチとして残る手紙で伝えたかったため、母国であるベトナム語で書いた感謝のお手紙を一人一人に手渡たとのことです。
顧客「いつもお菓子を配っていただき、声掛けもしてもらえてうれしかったし、逆に自分たちが感謝の気持ちを伝えたかったが、お伝えする機会がなかった」
自分「これを機に、雑談でも何でも、お互いいつでも気軽にお話ししましょう」
このように一人の開拓が次の道を開いていったようです。
顧客の事前情報や提案の仮説
ベトナム人労働者への医療保険大量販売について
ベトナムでは他の東南アジア諸国と比べても生命保険の普及率が極めて低く(2018年で1.7%)、「自分が万一の時に遺された家族は・・・」という発想は持ち合わせていない。
従って、「家族のために」という日本人に対して提案する視点と同じニーズ喚起をしても、ベトナム人には全く響かないし、ベトナム人の考え方を日本的な考え方に変えさせるのに相当な労力と時間がかかることが予想された。
そこで発想を切り替え、「家族のための」万一の死亡保障ではなく、少なくとも日本にいる間に「ご自身」の病気やケガによる入院や手術に備える保険という視点でニーズ喚起をするため、「医療保険」一本に絞って提案することにした。
提案にあたっては、保険加入の発想がないため、入院1日につき1万円等の日数により金額が変わる不確定な従来型の医療保険ではなく、1日でも入院すれば30万円もらえる等、金額が具体的に決まっている商品の方がイメージしやすいと思ったため、後者のタイプの医療保険をご提案しようと思った。
医療保険の金額としては、入院が短期化しており、手術後に即退院で自宅療養(働けない)というケースが増えている中で、入院費用だけでなく当面の生活費(諸費用)含めて安心してカバーできる30万をベースにした。
一旦常識を疑って、本当に必要なものを練り直す動きがみられますね。
顧客から信頼を得たポイント
事前に予想した通り、死亡保障のニーズは全くなかったが、「ご自身のため」という視点での提案は響いたと思う。
とりわけ、自分の身体は健康でも、事故に巻き込まれて入院する可能性がある(しかも60秒に1人)という説明をすると、驚いて話をしっかり聞いてくれた。
顧客へのヒアリング内容
ベトナムは保険普及率が低く、そもそも「保険に入る」という考えがなかった。
「自分のため」の医療保険という観点で、医療に備えがあるかヒアリングした。
自分「(会社提供のチラシより)新たに入院する患者さんって、実は2秒に1人もいるんですよ。万一の入院に備えて何かご準備はしていますか?」
顧客「自分は健康には自信があるから、大丈夫だと思う」
自分「ご自身は健康であっても交通事故に巻き込まれて入院するケースもありますよ。交通事故に関して言えば60秒に1人の方が入院しているんですよ。」
顧客「え、知らなかった。ちょっと考えないといけないな」
具体的な提案内容
①一回の入院で30万の一時金が支払われる医療保険
②死亡保障のニーズはなさそうなので、「ご自身」のための医療保障に絞って提案した。
具体的な顧客のコメントとのご自身の切返し
※医療保険の具体的な保障金額(一時金の金額)について、詰めている場面です。
顧客「医療保険が必要なことはわかったが、一時金で30万もいらないのではないか?」
自分「(会社提供のチラシを見せて)一例ですが14日の入院で、約28万円の自己負担額になるのですよ」
顧客「入院は病院に払う診察・入院費用だけでなく、食費、差額ベッド代、その後の通院費用やお見舞いのお返し、しばらく自宅療養や通院のために早退する必要がある等、見えないお金も必要だったり、収入減になることに気づかされた。教えてくれてありがとう!」
※「お見舞いのお返し」等ベトナムではあまりやらない風習のようで、その話をすると多くのお客様が興味を示した感じがします。
その提案が成功した・成果を得た理由
死亡保障や年金の成約に関して言えば、手紙を送ることに感激したマネージャーが味方になり、ご自身だけでなく、配偶者・後輩への提案時に力強い「協力者」となってくれたため、すんなりと成果に結びついた。
大量の医療保険の成約に関して言えば、渡した手紙をきっかけに、多くの従業員と親しくなることができたことに加え、1人が加入すると、その人が「協力者」となり「私も入ったから」と一緒に勧めてくれて、次から次へと加入検討して頂けた。
この案件から得た学びや感想
営業は「人間力」がすべてであり、人への感謝を忘れないことも1つの人間力として評価されるということがわかった。
また提案したいお客様に対して影響力のある「協力者」を得ることで、成約率も高まり、成約に至るスピードも速まる。
手当たり次第に提案するより、提案前に事前に周りの状況をよく観察し、誰がキーマンになり得るのか、キーマンを味方にするにはどうしたらいいか、先にキーマンとのなじみを作るべきか等、遠回りであってもしっかりと戦略を立てたうえで提案すべきと思う。
まとめ
紹介営業の素晴らしい事例だと思います。
結局この案件のポイントはマネージャーを口説けて味方にしたことだと思います。
キーパーソンに出会えたらそこを重点的に攻めることをお勧めします。