目次
結論
突き詰めると一番上の図で表現でき、言語化すると以下のようになります。
米国長期金利と顧客の希望を鑑みて、資産クラスを選ぶこと
今回はこれを解説します。
米国長期金利の重要性
米国は今のところ世界経済の中心です。株式市場においても債券市場(USD建てが7割超)においてもトップのシェアを誇っています。
これらの市場を司っているのが長期金利であり、中央銀行の金融政策であると言えます。
米国長期金利の動き方
長期金利の過去の動きは上の図のようになっています。ここからわかることは
長期金利が下がり止まり暴騰するのは
「戦争などの抑圧からの解放」
高金利を支えるのは
「解放からの消費(≒物価上昇)と技術革新の発生」
金利が下がりはじまるのは
「技術革新やグローバル化による物価の停滞≒格差や対立の発生」
金利が底になるのは
「大規模な不況」
米国長期金利の歴史
実際に米国の長期金利の歴史を見てみると上記のところと合致しているのがわかります。
1914年~ WWI
1918年 WWI終戦後、金利暴騰&技術革新の停滞(=金利下がり始め)日米対立
1929年 世界大恐慌後、日本国連脱退(日米対立鮮明化)WWII→根本の原因は格差の大きさ
1945年 WWII終戦 金利の底=戦争(=不況)の終了
1945~1980年代 消費爆発・技術革新(通信・移動・宇宙=衛星や電話、メール)→金利上昇
同時に、冷戦勃発=対立の発生 →技術革新とグローバル化、好景気が上回り金利上昇
1985年~2008年 プラザ合意 ソ連崩壊(1991年)→グローバル化の大きな進展の開始=金利低下開始
2008年 リーマンショックへの対応とグローバル化による物価停滞=金利低下継続
2020年 米中対立 コロナ グローバル化 技術革新の停滞(インターネットという枠からは進展していない)=金利0
参考:長期金利の未来
以下は私の予想です。参考までに、これを元に分散投資をしています。
上昇シナリオ
- コロナ後の消費の大爆発
- ハイテク分野における米中対立(=AI・VR・宇宙)によるグローバル化の停滞≒国内製化=物価上昇
- 宇宙開発のための資源の高騰=物価上昇
低下シナリオ
- インド中心に安価な製造業拠点が移転=グローバル化の進展
- 技術革新による製造業のコスト削減=物価の停滞
- ハイテク分野における米中対立に対するFRBの対応
長期金利と資産クラスの選び方
ここまで長期金利自体の動きについて解説してきましたが、このブロックでは長期金利の動きに合わせて投資するべき資産クラスの選び方について解説します。
これに関しては一番上の図をまた見ていただきたいのです。
この図で示したいことは、
長期金利が高い場合
長期金利が高い場合はこの三角形における下の方がリスクを取らずに、高い利回りを達成することができます。
したがって金利が上昇する前に下の資産クラスに自分の現在保有している資産を寄せる必要があります。
金利が高くなると、企業の資金調達コストが高くなるので中央銀行を中心にその金利を下げにかかります。
長期金利が低い場合
長期金利が低い場合にはこの三角形における下の方に資産を置いている場合は希望する利回りを達成することができず、上の方の高利回りの資産を保有する必要があります。
金利が低下していく観測が出た場合には、あらかじめ資産を上の方に移動させる必要があります。
低金利になる理由は過去の歴史上は、不景気やショックなどが原因であることが多くその対応として中央銀行が金利を下げに来ています。
現在のコロナ禍においても同様のことが起きていると言えます。
資産クラスと顧客意向を合わせる
我々銀行員は、マクロ経済を中長期で見越してお客様に商品提案をしていきます。
大きな目線で長期金利の動きを見ながらそれをお客様と目線を共有していきます。
ここで三角形のどのフェーズまで資産を寄せていくのかを議論し、具体的な商品提案をして行きます。
ここで重要なのは債券だから安全だとか株だからリスクが高いや積立投資だとか分散や長期などといった脳死したような提案を絶対にしないようにしましょう。
まず金利があって他の資産の価値が決まります。
そのあとにテクニカルな分散や積立などを議論する必要があります。
まとめ
世の中にあるテキストの中には、株と債券は逆相関などと書いている教科書もあるかと思いますが、本質は金利の高低でありそこから資産がどこに寄るのかという視点を持つようにしましょう。
金利に関係するニュースや物価が上昇していくようなニュースをチェックして金利動向を読み取ることが普段の勉強で重要です。