目次
結論
以下の図のように価格が基本的には動くので合わせて案内する。
物価と通貨価値の動き方を補足する
普段、ロイターやブルームバーグ、日経新聞などのニュースを読むときに何を意識していますか?
書いてある事実のみを追って、「へぇ~そうなんだ~。」で終わっていませんか?
僕は物価と通貨価値にニュースで取り上げられている事実がどのように影響しているのかを考えながら読んでいます。
僕たちのビジネスは顧客の資産を守り、育て、繋ぐことです。
そのためにどこにお金を置いておくのが良いのか?という視点で情報を摂取し加工していかなければなりません。
物価
物価は基本的に資源価格・需給・人件費・税金・通貨価値によって動いていきます。
上を図ではコメの価格を例にしています。
資源価格
基本的には原油価格を見ていけばよいです。
資源価格は基本的には輸送費や工場などの稼働に必要なエネルギーのコストに関係しているので物価に大きく影響してきます。
OPEC+の会合の結果やロシアのウクライナ侵攻による天然ガスの高騰などが直結しているニュースの一例です。
コメでいうとコメを輸送する車やトラクターの燃料代、温室ハウスの暖房代などが大きく直結していくことになります。
需要と供給
需要と供給の話は価格の決定方法で最も一般的な考え方です。
最近ではコロナの影響で設備投資が止まっていた分、ポストコロナで経済活動が再開してきたことで半導体不足が進んでいます。
その影響で車の納車が遅れたり、価格が吊り上がったりしています。
コメの例でいうと冷夏でコメが不作で価格が上がることや設備や品種改良によりより供給の能力が高まり価格が下がることなどが考えられます。
ニュースの影響で物の数量を左右する生産能力と輸送キャパシティのニュースをよくチェックするようにしましょう。
人件費
人件費に関しては雇用統計を中心に見ていきます。
失業率に目が活きがちですが、平均時給なんかも発表されているのでよく確認しましょう。
最近ではイギリスではEUから抜けたことが影響で移民の流入が少なくなり、タンクの運転手が高騰していることなどが挙げられます。
コメの例でいうと外国人の特定技能実習生が違法に安い賃金で働かされることでコメの価格が下がったり、農民がストライキをすることで賃上げ(基本自営なのでそんなことはないと思いますが)することなどが挙げられます。
税率
税金も実は物価に関係しています。
簡単に思いつくこととしては消費税です。
物を買うときに商品の価格に10%も乗っているのシンプルに価格に影響していますよね。
他にも実は原油も小売価格の60%は税金であることはご存知でしょうか。
コメの例でも消費税や原油税が裏で乗っていることを考えれば当てはまると思います。
通貨価値
通貨には価値尺度、交換・流通手段、価値貯蔵手段があります。
価値貯蔵手段というのは通貨自体に価値があるということです。
これはモノと金融資産との相対関係からわかるものと通貨自体の機能である通貨の希少性と利回り(=金利)から判断できます。
モノとの相対関係は物価の高騰が通貨の下落を意味しています。ので先ほどの物価の上昇下落のシチュエーションを通貨に置き換えて結果を逆にしてみてください。
金融資産との関係も価格との相反ですが、基本的にはマネタリーベースと金利を見て判断していきます。
金利
見るべき金利が2種類あります。
1つ目は米国政策金利で2つ目は米国10年国債の金利です。
政策金利の長期の変化予測から中央銀行が通貨の価値を強くしたいのか弱くしたいのかという意図を読み取ることができます。
中央銀行は基本的に物価と雇用の安定のために通貨の価値を上下させていきますので、中央銀行が現状の物価の推移をどう評価しているのかを考えに行きましょう。
2つ目は米国10年債の利回りですが、これは市場が現状の判断する通貨の価値を意味しています。
金利動向をよく見ることで通貨価値の強弱を確認することができます。
マネタリーベース
マネタリーベースとはざっくり市場に出回っているお金の量を意味しています。
通貨の希少性という観点で見ると市場に出回っている通貨量が多くなれば通貨の価値は低くなり、少なくなれば希少性が増すので通貨価値が低くなります。
基本的にはアメリカドルのマネタリーベースを見ていけばよいです。
第一生命研究所のレポートが非常にわかりやすいのでご参考にしてください。
実質金利と運用資産
基本的に物価が先行して、その後に物価と金融政策の予測からマーケットが反応し、そのあとに金融政策の実施が行われていきます。
そのタイミングによって持つべき運用資産を変えていくことを提案していきましょう。
その分かりやすい指標が実質金利です。
この定義はまちまちですがここでは「10年債利回り-5年物インフレ率」とします。
実質金利を見ながら運用提案するにあたって、あるピラミッドを理解していると非常にわかりやすいです。
上記の記事内容をよりタイミングを分けて考えたものが最初にお示した表になります。
最初の記事で物価と通貨価値の動きを補足することで現状がどのフェーズにいるのかを考えて、顧客の取れるリスクをヒアリングし、表の上方にあるボラティリティを踏まえて商品を提案していきましょう。
まとめ
ニュースをみて、ただ読むだけで絶対に終わらせないでください。
今回の記事で紹介した物価の表とアセットの動きの表を用いて、どこに該当するのかを常に意識しながら情報を取るようにしましょう。
金利と物価の動きの表は基本的な動きですがリーマンショックやコロナ、戦争、スタグフレーション等イレギュラーなタイミングはあります。
その場合は基本的に一旦キャッシュポジか積立で株に買いを入れていくことを提案すると僕は決めています。が、ケースバイケースです。