目次
結果
今回の案件では、結果として成約したのは以下商品です。
- 贈与系保険(10年分)総支払保険料USD300,000.00
- 年払い10年養老保険 総支払保険料USD100,000.00×3
これによって保険の販売金額が日本円で6000万円ほどになります。
お客様の属性・現状
面談前にわかっていたこと
今回のお客様は私が口座の住所が最新でないことを口実に住所の変更と保有資産へのコンサルティングをご提案したことがきっかけです。
会う前にわかっていたお客様の属性は以下の通りです。
- 60歳後半女性
- 退職(以前は某有名外資系企業)
- 残高はUSD100000.00 EUR10000.00
- 当行の資金は長期にわたり動かしていない
インターネットで検索しても特に情報があるわけでもなく、基本的には情報を聞きださなければならなかったです。
コンサルティングをする上で聞きたいことを事前にリストアップしておくことでスムースなコンサルティングに移っていけるようにしました。
まずここで興味を頂きたいのは60歳後半で住所変更をする理由は何なのかということです。
一般的なライフプランからすると子育てが終わって引っ越すには遅すぎますし、介護に入るには早すぎる年齢だからです。
そこを中心に想像しながら考えた質問は以下の通りです。
- 引っ越した理由は何か
- 引っ越し先は賃貸(家賃)か持ち家(購入価格)
- 家族構成
- 年収(年金だけかその他の収入があるのか
- 他社での運用状況
- 総資産
仮説としては基本的には投信での運用というよりは相続対策が確度が高いと予想しつつも、どこにニーズがあるかわからないのである程度ベーシックな内容を聞いていくことにしました。
面談中
アイスブレイクでコロナの話をしつつ、お客様が言葉を発するように仕向けていきます。
面談中は基本的にお客様が話す時間の方が長くなるように意識します。なので事前に聞くことを準備しておく必要があります。
住所変更の事務をする際に、タワーマンションであることがわかったので
「今度のお家は見晴らしがいいところなんじゃないですか」
と聞いて、引っ越しの経緯を聞き出します。
すると1億5000万ほどで購入されたとのことで、以前住んでいた家を売却しその資金を持って購入したとのことでした。部屋のことをほめつつ大きさから
「ご家族でお住まいなんですか」
と家族構成を聞き出すための質問をします。
家族は夫と二人で、子供はいないとのことでした。さらに今回のマンションは夫ではなく自分で買ったとのことでした。ご自身で買われたことに違和感を覚え質問をすると旦那様は正確には籍の入っていないいわゆる「内縁の夫」であることがわかりました。
さらに自分には子供がいないけど姉の子供(姪)が3人いることをわかりました。
「お姉さまや姪御様と仲がいいんですか」
と聞くと、とても仲が良く姪御様のことは自分の子供のように考えているとのことで、自分の資産を姪御様に残したいと考えているとのことでした。
この話を聞いて課題としては以下であると考えました。
- 姪は法定相続人ではない
- 不動産のまま相続することの大変さ
- 内縁の夫も法定相続人ではない
「姪御様や旦那様(内縁の夫)は法定の相続人ではないですが、残し方はお決まりですか?」
少し楔(くさび)の質問をします。するとそのことは退職をしてから考えていて誰に相談していいかわからないでおり、遺言を残すべきかなどと漠然と考えていたとのことでした。
「よろしければ相談してもいいですか」
とお客様の口からコンサルティングの依頼を受けることができました。
ここから聞きづらいことを聞いていきます。
お客様が自分に自分で課題を認識し、相談したいとおっしゃるまではなるべくこちらからは営業色を消し去ることが重要です。
その結果として得た情報が以下の通りです。
- 総資産は不動産1.5憶金融資産1憶
- 内縁の夫と相互で十分な生命・介護保険には加入(会社により内縁でも受け取れる)
- 他行で外貨預金AUD50000.00定期預金にしている
- 証券会社で2000万円ほど運用中
- 残りは円の定期預金
- ローンはない
- 内縁の夫よりも姪3人に資産を平等に残してあげたい
- 姪3人には不動産のような実物資産で残してあげたい
- マンションに関しては5年後長期譲渡の税制適用後に売却し自分は賃貸へ
ここで自分が注目したのは、姪3人には不動産で残したいと言っていたことです。
不動産で相続すると管理の手間などで相続人が困るケースを見たことがあったので「なぜ不動産という形で残したいのか?」という質問を投げると
「お金すぐ渡しちゃうとすぐに使っちゃいそうなのよね。」
とのことでした。
後日また面談のお約束をさせていただくことになり、いただいた情報を踏まえて提案を作成しました。
提案内容の作成
提案内容は以下の通りです。
- 姪の一人を養子縁組で子供にする
- 保険活用し10年間姪3人に贈与税の非課税枠110万円を使って生前贈与をする
- 姪がすぐにお金を使わないように姪3人に払いの養老保険に加入してもらい65歳から年金を受け取ってもらう
①に関しては、法定相続人を増やすことで相続税の基礎控除の枠を600万円分増加させるためです。
養子縁組しなければ姉に財産が相続され税金を取られた後にまた姪に相続されるという二次相続が発生する可能性があります。
②に関して、相続税への対処として生前贈与の非課税枠110万円を用いて時間をかけて贈与をしていくことで相続税の課税対象の資産を減らすことができます。
③に関して、すぐに子供が使ってしまうというリスクに備えるために保険の65歳からの年金払いという仕組みですぐには使えないようにしつつも、外貨建てで将来の資産形成を助けるというスキームを構築しました。
提案
後日の面談でこの提案をまずお客様に説明し理解していただきました。
ネックとなりそうな姪を養子縁組する件に関しては家族で協議するとのことだったが相続税を国にとられることへの嫌悪感が強いようで前向きに話を進めるとのことでした。
その後契約していただき、一番最初に書いた商品を購入していただきました。
今後のお客様の課題とフォロー内容
今回は6000万円分の保険ということで大きいように見えるのですが、実際今回の提案は相続対策として最低限やっておかないといけない内容のものです。
なぜならまだお客様には課題は山積みだからです。
- とりあえずの10年間贈与を行うが10年後まだ継続するべきなのかの判断がすぐにはできない
- マンションが実際に売却して現金化することができるのかが不明
- 内縁の夫への贈与や相続は必要ないのか
- 生命保険の非課税枠500万円をまだ使えていない
- 養子縁組が成功しても姪3人の中で平等に資産を配分しきるための方法が未定
- 贈与して自分の老後資金が尽きる可能性があるかもしれない
- その他の資産の運用ポートフォリオが適正に管理できていない
これらの課題に対して次や時間がたってマンションを売るタイミングや贈与が10年間終わるタイミング、資産の増減に合わせて臨機応変な提案が必要になっていきます。
これらに対して適切なアドバイスをするために担当者として継続的なフォローをしていく必要があるのです。
まとめ
お客様の生活における変化の理由や家族への思いに対して金融マンとしてどんな価値を提供できるのかという目線を持っていくことが重要です。
この生前贈与+受贈者の資産形成や生前贈与+納税資金確保のための終身保険などの組み合わせは実は富裕層のお客様よくある相続対策になるのです。
特に相場が関係せず、お客様のニーズに寄り添えるという点ではできるようになっていると収益的にもお客様にとってもいいことである思いますとおもいます。