目次
結果
今回の案件では、結果として以下の商品が成約し、追加の資金導入ができました。
投資信託(株系)50万円×1本
新規資金導入5,000万円
年払い保険料40万円×10年×2本
贈与保険1,100万円×2本
投資信託2,000万円×1本
子供二人から養老保険年払い50万円×30年×2本 総支払保険料3000万円
保険料と投信販売額の合計で8000万円近くの取引になりました。
お客様の属性
今回のお客様の属性は以下のようです。
- 50代後半女性
- 専業主婦
- 当行の残高は50万円のみ
- 以前は当行で投信で運用していた
アプローチ前
今回の顧客に関しては以前の接客の記録から以前は当行で運用をよくしていたようですが、教育資金の入用で一度運用をやめたようでした。
その記録から子供が二人おり、旦那様から生活費をもらって専業主婦をしているということや実家が太く生前贈与を受け取っていたことがわかりました。
以前の担当者は基本的には投資信託の中でも株式メインの運用をしているようでした。
今回アプローチした時はちょうどコロナで株価が急落した4月でした。
なので対面ではなく、アプローチの方法としては電話でコンタクトを取りヒアリングをした上で、インターネットから株系の投資信託を購入をしてもらうことにしました。
以上の情報と外部環境、戦略からヒアリングしたいことは以下の通りです。
- コロナ禍で健康面や生活面での心配事
- コロナ禍での他行や他社での運用状況
- 現在の株価に対する考え方
- 家族関係について
電話面談
専業主婦かつ子供も独立しているようなので昼過ぎの家事も一通り終わりワイドショーでも見ているような時間14時を狙って電話をしていきます。
電話をかけて、相手が出てから数秒黙ります。するとお客様の方から「あれ?どうしたのかな?誰だろう?何の要件だろう?」と疑問が嵐のように湧き上がってきます。
そこで名乗り、4月から移動で担当させていただくことになったという体にして電話をしていきます。
コロナ禍でまず心配を申し上げ、営業とは異なる部分からケアをしていきます。
「コロナ禍で銀行さんも出勤しないとダメなんですね~。大変ですね。」
とお言葉をいただき、このような大変な時ほどお役に立ちたい旨お伝えします。
ここでコロナで株価もかなり落ちていますが他社での運用状況などいかがですか?と聞いてみます。
「持ってる商品みんな下がっててとても大変ですよ~。担当者さんも連絡くれないしほっとかれているみたい。」
とのことで他社での運用がうまくいっておらず担当もアプローチしていないことがわかりました。ここでマーケットに関して今後どうなっていくのか考えを聞きます。
「すごい下がってて怖いんだけど、どうなると思います?」
と顧客から相場に関する相談を受けます。各国中央銀行の金融政策の規模感からすぐに株価は戻し、その後もバブル気味に株価が上がりそうであることをお伝えします。
「そっか~。ならいま買うならチャンスかもしれないんですね?なにかおすすめありますか?」
とのことで当行にある100万円を米株系投信に入れることを提案しました。
「買いたいんだけど、お店は行きたくないなぁ~。残ってる100万円はほんとに使わないの。せっかくお電話くださったしどうにかならない?」
とのことでインターネットバンキングからの購入を提案し、同じ画面を見ながら丁寧に説明して購入していただきました。
フォロー
購入していただいてから7月ごろには株価はコロナ前の水準近くに戻り、世間も以前ほど外出ができないような状況ではなくなっていました。
購入していただいた投信は30%のリターンになっており、その報告をします。
「100万円しか入れてないのに30万円も儲かってありがとうございます!」
とのお言葉をいただきました。売却いただき一度利益確定をすると
「あなたのとことに移したいと思っているのぜひ運用の提案をしてくださらない?」
とのことで面談を対面ですることになりました。
面談
基本的な運用相談のスタンスとしては以下を網羅していきます。
- 家族構成と総資産を聞く
- 増やす・守る・繋ぐ3つの観点からニーズを聞き出す
- 生前贈与110万円と生命保険500万円の非課税枠の活用の有無
- 生命保険の保険金と掛け捨てかどうかに関して
- 親の相続
- 家族や人生に対する思いや計画に少しでも触れる
ここがわかれば金融商品で解決できることはかなり多いです。
この観点から話を聞いていてわかったことは
- 総資産奥様個人で8000万円 5000万円は移してくれるとのこと
- 家族は子供2人(ともに社会人)と旦那様
- 増やしたい意向もあるが守る・繋ぐという対策はしていなかった
- 生前贈与は自分の親から相続してから子供にしようとしている
- 生命保険の非課税枠に関しては掛け捨ての生命保険で使っている
- 親の相続で金融資産と不動産は入ってくる予定だが金額は不明
- 子供も手を離れて旦那様とはあまりうまくいっておらず家を買って離婚か別居するかもしれない
このニーズから提案を作成していきます。
提案
①掛け捨ての保険をやめて、解約すれば返戻金が戻ってくる保険に乗り換えることを提案しました。
50代後半でまだ30年くらい生きる可能性が十分にある中で、お子さんも独立されているのに掛け捨てで保険料を払い続けることは必要か喚起しました。
非課税枠の500万円分の保険で十分である旨お伝えし、USD建てで長く生きれば解約返戻金もしっかりと増えていくものを提案しました。
②親御さんの相続資産の不動産の土地からして明らかに資産をかなり相続することが目に見えていたので今からでも生前贈与を始めたほうが良いことを提案しました。
以前の案件で生前贈与した子供の先で養老保険を活用して将来の子供のキャッシュフローを作成するスキームを使ったことがあったのでそれを提案しました。
③運用に関しては下がったタイミングで積立的に株式系の投資信託を購入していくこととハイイールド債券系の株式をまとまった額で一括で購入することを提案しました。
2022年までFRBは金融緩和による低金利政策を続けると明言しており、ハイイールド債券まで救済するとのことだったの以上のような提案になりました。
結果
結果としては一番上で書いたようにすべての提案を受け入れていただきました。(もちろん面談は1回ではないですし、一つ一つの取引をこなしていき、トータルでは4か月ほどかかりました。)
なぜこのような結果を得ることができたのかの理由は自己分析では以下の通りです。手前みそではございますが参考までに。
- 小さな額の運用で良い結果を出すことができた
- 他社の担当者のスキができたタイミングを拾えた
- コロナの状況にも対応したオンライン活用ができた
- 投信だけの頭にならず、守る・増やす・繋ぐの観点から提案ができた
- 相続してきた資産家はBSを気にすることを知っていた
- 非課税枠の活用を必ず提案するようにしていた
相場を味方にして運用の提案をしていくことは最低限銀行員としてできることだとして、そこから総資産への提案という観点を持つことが非常に重要です。
こまめに連絡を顧客に取ることも他社から顧客を奪われないようにするために重要なことがこのことからわかります。
今後の流れ
今後の課題として親御さんの相続と離婚や別居する際の住まいなどがあげられます。
親御さんから受けた相続資産に関して、場合によっては不動産の売却提案やそれを担保に新居の購入やそのためのローンなど派生する可能性のある顧客です。
自分の担当しているときに相続や離婚は起きないかもしれませんが、会社としてしっかりとフォローしていくことで顧客と会社にとってもメリットがあることがわかります。
営業とは新規開拓だけでなく良いお客様を守っていくことも仕事なのです。
まとめ
今回の案件は顧客の資産に対して総合的な提案をすることができました。
正直うまくいきすぎな案件ですが、これを目指して毎回面談をしていけばいずれかのニーズには引っかかる可能性は大いにあります。
営業をする上ではこのように提案だけにフォーカスして考えるのではなく全体像を把握して仕事をしなければなりません。
以下は参考まで読んで頂ければ幸いです。