目次
投資信託の基本事項
まず販売までの流れを説明する前に投資信託のメリットとデメリット、種類に関して確認しておきたいと思います。
ここでいうメリット・デメリットは運用する上での顧客目線での話をします。
メリット
金融庁や銀行のお偉いさんが言うようなきれいごとではなくて、実際の顧客目線で見た時ののメリットは以下の2点であると考えています。
- 自分で運用せずにプロに任せることができる(放置しやすい)
- 個人では投資できないような投資対象や手法で運用できる
- 高くて買えない運用商品にも投資できる
1に関していえば、銀行にくる顧客は基本的には証券会社のように積極的に時間を割いて資産運用をしたいとは考えていません。
運用の見直しをするとしても短くても1か月くらいのスパンです。
中長期で勝率が高そうな戦略に投資をしたいと考えていることが多いので、投資信託が選ばれるというわけなのです。
2に関していえば、インドネシアや中国のニッチな株式のように銘柄の分析が困難な投資対象や先物やオプションなど素人だと細かく運用することができないような手法で投資できるということです。
お客さんの希望で新興国に投資したいであったり、普通に運用するのは自分でできるから変わった手法を試してみたいというニーズに対応することができます。
3に関していえば、株式によっては最低単元数が決まっており投資したくても手元資金が足りない場合もあります。
その場合投資信託を通じて投資することにメリットがあると思われます。
デメリット
デメリットに関しても顧客目線で考察すると以下の4点です。
- 元本保証でない
- 株やETFに比べると動きが遅い
- 信託報酬というランニングコストがある
- 購入時手数料が高い場合がある
1に関しては当然ですよね。理解できなければ営業を外れたほうが良いです。
2に関していえばどうしても受け渡しや約定のタイミングと市場実勢の動きがズレが発生してしまいますので、一日で大きく値が上下する際に利益をとることができません。
3に関して、投資信託は運用会など多くの関係者がかかわっています。そこが手数料を取ってくるので、債券ファンドなどの年間での期待リターンが少ない投資信託の場合、年間の負けてコスト負けしてしまう場合があります。
それなら投資信託よりも現物を購入した方がいい場合もあります。
4に関していえば、ネット証券などと比べると手数料は基本的に高いです。
ただ銀行で投資信託を検討する層はネット証券への信頼をしていないことが多いです。
また銀行員のようなプロの意見や周りの人が何に投資しているのかを気にしているので手数料を払っているような印象です。
種類
- アクティブファンド
- インデックスファンド
アクティブファンドは運用会社が独自の投資戦略・エリア・対象で運用をしていくのに対して、インデックスファンドはNYダウや日経平均などの指数に連動した運用をしていくものです。
インデックスファンドの方が用紙の初心者の方にはなじみ深いかもしれませんね。
- 株式
- 債券
- REIT
- バランス
- コモディティ
- ヘッジファンド
投資信託の種類をしっかりと整理していきましょう。
基本的にマーケットでは資金が順番に投資対象に流れていきます。次に流れていく投資対象は何なのかを意識しながらお客様にストーリーで提案していきましょう。
- 日本
- アメリカ
- 欧州
- 中国
- 豪州
- 先進国
- 新興国
- グローバル分散
エリアを区切ってあげることもお客様には重要です。
国や地域は、株や債券に比べてニュースになりやすいですしお客様にとっても馴染みが深いものです。
担当者としては国や地域別の個別要因を分析して投資の戦略に組み込んでいきましょう。
投資戦略x投資対象xエリアxタイミングx投資額=提案
我々がアドバイスするのは基本的に上の式であらわされる5点です。
因数分解すると何を勉強すればいいのかもわかりやすくなると思います。
投資信託の実際の販売の流れ
続いて実際に投資信託を販売していくまでの流れを解説していきたいと思います。
個人的にはお願い営業というものが嫌いなので真っ当にお客様に納得してもらうための営業スタイルをお伝えしたいと思います。
マーケットの今後の流れに自分のストーリーを描く
まずは今のマーケットに対して自分なりにどの運用商品に投資するべきなのかを考えます。
自分だけで分析してもよいですし、上司や同僚の意見を使ってみるのもよいと思います。
顧客の意向に合った商品を売った方がいいんじゃない?という考えもあるかもしれませんがそれは二流の営業スタイルだと思います。
お客様の相場観がかなり的外れな場合、それを正し教育していくのもコンサルタントの仕事です。
お客様の御用聞きで終わるのであれば、営業員はただのネットバンキングとやっていることが変わらないので存在意義がありません。
投資信託が解決する顧客の課題を逆算する
投資信託が解決する顧客の課題は何でしょうか?
先ほどの述べた投資信託のメリットも頭の中に入れながら考えてみましょう。
個人的によく想定している課題は以下の通りです。
- 低金利への対策
- 通貨安への対策
- 将来の資産形成のため
- 機会損失を防ぐため
1に関していえば、特に年配の方の話のきっかけになりやすいものです。昔は単なる定期預金でも年間で4~7%くらいの利息があったので単純に日本円を集めて預金をしておくだけで資産が増えていたという事実があります。
現状では銀行の預金金利はほぼないような状況です。
そこへの対策として比較的安定した債券型の投資信託で運用する旨味があるのではないでしょうか。
2に関していえば、円という通貨の価値の下落に訴求するパターンです。
日銀の金融緩和政策や日本政府の財政状況はお客様にとっても馴染みがある話題です。
そこから「日本円ってかなり刷られてますよね?」や「昔より物価も上がっていますよね?」などとお客様自身に通貨の価値の下落に気づいてもらい必要があります。
せまて物価の上昇率に負けない程度には運用しませんか?というトークで運用のニーズを喚起していきます。
3に関していえば、最近報道でもありましたが老後生活資金が2000万円足りないという問題など将来の資産形成に関して不安を覚えている方は多くいらっしゃいます。
そこへの解決策として投資信託を用いていくという話を持っていきます。
4に関していえば直近のコロナショックや10年近く前のリーマンショックのように株式相場が大きく下落したタイミングでしっかりと資金を投じることができるように準備をしましょうというというような話を持っていき方です。
基本的には、投資信託のメリットとここで上げたニーズに対応していくことができれば、あとは試行回数を増やしていけば成約は上昇します。
顧客の課題を想定する実際に存在するかを聞き出す
究極を言えばお客様は儲けられればそれでいいのですが、何のために儲けるのか・投資するのかという理由をお客様に持ってもらうことがゴールです。
お客様に対して想定した課題があるかを直接的に聞くのではなくお客様の口から上記で述べた課題を自分の言葉で話してもらうようにします。
なぜなら人は自分の言ったことしか基本的には人は信用しないからです。
課題をお客様に気が付いてもらうためにまずお客様の現状に関して俯瞰してもらうための質問をしていきます。
例えば、
- 将来のキャッシュフローがどうなるのか
- 老後もらえる年金の額
- 子供のために資産形成をしていくこと
など自覚してもらいたい現状を考えます。この質問に至るまでにニュースなどの時事ネタ・キャンペーン・新商品などフッキングにしていきます。
質問を構成していく上で顧客に問題を気づかせるための質問に届くように逆算をしていきます。
- 運用して手に入れたいリターンの額
- 年間の収益率
- 運用期間または余裕資金を使わない期間
- 顧客の希望の投資方法
- 顧客がリスクだと考えるポイント
ここまで聞き出すことができれば、提案をすることができます。
ここをどうやって聞き出すかが皆さんの個性やアイデアが活きるところだと思います。僕のアイデアや実体験も徐々に記事にしていきたいと考えています。
ストーリーで提案し、顧客の考えと足並みをそろえる
お客様のリテラシー次第ではありますが基本的に運用に関していえば、私たちの方が知識と経験があるはずです。
お客様の言いなりで買ってもらうのも一つですが、それよりもお客様の知らないことや気が付いていないことを伝えることによって期待値を超えることの方が私たちの存在価値だと考えています。
市場をしっかり分析します。お客様に伝えるときに現状出ている金融政策やリスクイベント・値動きをもとに今この投資信託に投資した場合の将来の動き方のパターンを伝えていきます。
例えば、
- 選挙戦ではどちらが勝っても株高になりそうなので選挙前に機関投資家がポジション調整したタイミングで成長株系の投資信託を買いましょう。
- ダウの値で27000切ったら、投資して30000超えたら一度売却しましょう
- 調整を待ってもう一度成長株を買いましょう
など、①~③のそれぞれのタイミングでしっかりと根拠を述べながら伝えていきます。
目安となる指標の数値やタイミングなどを伝えて、話を具体的にしていくことが重要です。
同時にストーリーが予想から外れる場合どうするかというリスクの部分をしっかり話します。ここを怠るとお客様の信用を失うことになります。
このストーリーが受けなかったとしたらどこが気になるのかを聞き出して修正するか、あるいは次のお客様を探しましょう。
ストーリーに沿って継続フォローを行う
提案に納得してもらった後は、提案の時間軸に沿ってお客様とコンタクトをとっていくことが重要です。
提案したストーリー通りにいけばお客様の信用を深くすることができます。
ストーリーから外れた時はその理由をしっかりと説明してその次の一手を話すことで信用を完全に失うという事態は避けることができます。
投資信託のような運用商品は買ってもらった後こそ重要です。
信用してもらえたならば他の金融機関から資金を持ってきてもらえたり、友人を紹介してもらえたりすることがあるからです。
また個人のスキルとしてもマーケットをよく見なければできないことなので、分析力や予想する力をつけることができます。
最後に
今回の記事では投資信託のセールス方法の全体像を解説していきました。
あくまでこれは僕のスタイルであり、皆さんそれぞれに個性やアイデアがあると思いますのであくまで参考にしていただけたら幸いです。
皆さんが本当に知りたいのは具体的な質問方法や今の市場ならどんなストーリーを描くのか?というというところだと思うのですが、私の怠惰で記事を毎日のように投稿することができないので少しずつ書いていきます。
頑張って書くので書いたらツイッターにリンクを張るのでフォローをお願いします。