銀行員全般

【若手の銀行員はこの順で学べ】相場・資産運用の勉強する順番と本

目次

情報を選ばなければ本で学習する意味はない

以前の記事でも述べましたが、個人的には実際の値動きを見てその原因を学んだ方が勉強としては効率が良いと思います。

ただし、実際の値動きを見る上でのフィルターとして最低限必要な知識があります。

  1. 各資産の動きと金融政策などのファンダメンタルズの関係
  2. 値動きの傾向(チャートのテクニカル分析)

お客様へ説明する際にはわかりやすくファンダメンタルズから説明するとよいでしょう。

例えば「FRBのパウエルが2022年までは低金利を続ける。インフレ率が2%を大きく超えるまでは」と発言したので、金融緩和を続けることがわかります。

このことからドルが市場に供給され、ドル安傾向が続きかつ株式市場も堅調でしょう。

といったようにです。

ここでさらにテクニカル分析の要素として実際のチャートを見ながらテクニカル分析でそのストーリーを補強します。

一目均衡表の雲をコロナ・ショックの時に抜け、その後は移動平均線的にも強い下落基調が続いています。(テクニカル分析には様々な視点があります。)

以上からドルと逆相関がありそうな金との関係が深い金鉱株系の投資信託を買うのはいかがでしょうか

といったようにです。

それでは実際に本で勉強するべき内容とおすすめの本をご紹介します。

ファンダメンタルズ分析

ファンダメンタルズとは実際の世の中で起きたイベント(災害・政策・選挙)を分析することです。

基本的にマーケットの各資産の値動きは人々の生活によります。

企業活動や国の政策を見て、人々が行動するとその行動に伴ってお金が動くことでマーケットが動くということです。

そのイベントが各資産の指標に反映されてくるのでイベントが以下の5つの指標にどのように反映されてくるのかを考えていくことが重要です。

それでは各指標・資産を見ていきましょう。

期待インフレ率

まず初めに見てほしいのは米国・日本・欧州の期待インフレ率です。

インフレ率とは物価の上昇の度合いを意味しています。

インフレしている際に、預金金利が上がらなければ相対的に通貨の価値が下がります。

なのでインフレが起きると中央銀行は金利を上昇させるような政策を取っていきます。

現状はどの国もコロナ対策で金利を低下させて企業活動を活発化させることで景気を回復させて消費を増強し、インフレを起こそうとしているのです。

金利

金利と言われてまずウォッチするべきなのはこちらです

  1. 主要国の政策金利(短期金利)
  2. 米国・日本・ドイツの10年国債の利回り(長期金利)

短期金利

中央銀行(FRBや日銀)が民間の銀行に資金を貸し付ける際の金利のことを言います。

この金利が下がる民間銀行が企業に貸付する際の金利が下がるので企業が積極的に事業に資金投下していくため、景気が良くなるといわれています。

マーケット目線でいうと、金利が下がると市場に資金が大量に流入し、金余りが発生して利回りが高い株式や不動産に資金が集まると言われています。

この政策金利に関しては中央銀行が操作できるのでマーケットにおけるファンダメンタルズにおいてかなり重要なポイントです。

長期金利

10年債利回りとは、民間の金融機関が企業に貸し付けをするときの金利です。

この長期金利が上昇すると企業の資金調達コストが上がるので企業の利益が減るため株価は下がる傾向にあります。

また、この10年債利回りは下がるということは国債の価格が上がっているということなので、国債の需要が高まっていることを意味します。

さらに長期金利は銀行がお客様に提供する預金金利に影響を与えるものでもあります。

債券

債権とは、企業や国が借金をするためには発行するものです。

満期まで保有すればその額面通りの金額が戻ってきます。

さらにただ貸すのではなく金利ももらえます。これが債券の利回りです。

企業目線でいいうと金利を付けて返すので、お金を貸してくださいということになるのです。

債券でまずおさえてほしいのは以下の3種類です。

  1. 国債
  2. 投資適格社債
  3. ハイイールド債

国債

国債に関しては、政府が発行する債券のことを言います。

先ほど話した金利と関係が深いのがこの国債です。一般的にこの国債の価格が高いときというのはリスクオフのことが多いです。

この価格と金利はどのように変化していくのかを分析していくことで市場参加者がマーケットに対してどのような見方をしているかがわかります。

投資適格社債

投資適格社債は、基本的には借金を絶対に返してくれそうな大きな企業が発行する格付けの高い債券です。

社債の場合、国債と比べてデフォルト率が高いということです。

デフォルトとは満期日や利子の支払いができなくなることを意味します。

社債は、国債に比べてデフォルト率は高いもののその分利回りが高いという特徴があります。

ハイイールド債

ハイイールド債は、格付けの低くデフォルトの可能性が高い会社が発行する社債のことを言います。

デフォルト率が高い代わりに、利回りは他の債券に比べると高い傾向にあります。

ハイリスクハイリターンというわけです。

最近のFRBの政策でも、このハイイールド債をFRBがブラックロックという会社を通じて購入することで企業の倒産を防ぐなどという施策がとられています。

通貨

通貨は、2つの種類の観点で学ばなければなりません。

  1. 投資対象や物に対して、現金
  2. ドルや円などの相対的な値動き

現金

現金を株や債券などの投資商品としてみるという観点はマーケットの初心者にとっては難しいことかと思います。

株価が暴落しているときは、ある意味で現金の価値が暴騰していると言えます。

現金比率が高いということは現金に超集中投資をしていると言えます。

外国為替

次に通貨で学ぶべきはドル円などの為替市場に関してです。

為替レートは各国の物価の調整や政策によって変化していくものです。

奥深いのは他の運用商品よりも多くの価格変動のための変数があるところです。

マーケットに毎日面している運用会社の担当者も為替が一番難しいと言っている話はよく耳にします。

極めることは難しくても各通貨が為替市場においてどのような動きをしていくのかをしっかりと理解していくことが重要です。

アメリカドル

通貨の中でまず考えなければいけないのはドルの価格です。

アメリカドルは世界で流通する通貨で半数以上の割合を占めています。

また世界中で発行されている債権の約7割程度はアメリカドル建てと言われています。

現在コロナの状況下でFRBが市場にドル金利を低くし、供給を多くしているのはドルの価値が下がることで世界中の借金が安くなるからです。

ドルの価値というのは他の通貨や投資対象との比較でしか図ることはできませんが、わかりやすくしたものとしてドルインデックスというものも存在します。

ユーロ

ユーロはアメリカドルに次ぐ流通量を持つ通貨ですが、その歴史は浅く歴史が20年ほどしかありません。

一般的にユーロ高になるとアメリカドルは安くなるという傾向にあります。

ユーロドルが世界でももっとも取引されている通貨ペアであることも覚えておきましょう。

我らが日本円です。

日本円の特徴としてはマイナス金利に突入するほど金利が低く、また政府の借金がGDPをはるかに超えている日本の通貨であることです。

あまりに金融緩和をしているので円の価値は少しずつ下がってくるとの見方から日本のハイパーインフレを唱える方もいるほどです。

震災やリーマンショックの際は日本円でお金を借りてドルなどの外貨を買って事業を行うキャリートレードの逆流で急激に円高になった過去もあります。

最近はドルやユーロも金利がなくなったので、相対的に円高には進みつつも今までのような大きなマーケットの変動が起きた時に急激な円高になりそれが長引くということもなくなっています。

資源国通貨

いわゆる豪ドル・NZドル・カナダドルなどの原油などのコモディティの価格に連動した動きをする通貨のことを言います。

傾向として原油などのエネルギー価格が上がっているときは株価も上昇していますので、リスクオンの時に買われる通貨であると覚えていただければOKです。

実際は各通貨の金利など細かく特徴はありますが、それはまた別の記事でご紹介できればと思っています。

まずは大枠で理解していただければ幸いです。

新興国通貨

南アランド・トルコリラ・ブラジルレアル・メキシコペソなどの新興国の通貨です。

これらも資源通貨同様にリスクオンの際に買われる通貨ですが、国ごとの個別要因によっていきなり価値が大きく下がることがあります。

トルコリラなどは5年と比べて今の通貨価値は5分の1程度になっています。

株式

株式の勉強する優先順位はここです。

正直株式の方が自分もお客様も馴染みぶかくて勉強しやすいかと思います。

しかし、株価というのは人気投票のような側面もあります。

特に銀行では生株などは取り扱いがありませんので、基本的にはダウや日経平均などのインデックスの値動きの理由を勉強した方が実践的です。

たいていの場合、株価を左右するのは中央銀行が市場に供給する資金の量です。

なので金利や債券、通貨の後に勉強していただきたいのです。

通貨の金利がなくなり、債券価格も高止まりしていると利回りの高い株式や不動産に資金が集まってきます。

欧州株と新興国株など、あまりいい本がなかったので以下では米国と日本株をご紹介します。

株式の中でも地域やセクター、グロース株かバリュー株か、個別株…といったようにかなり細分化されますので米国と日本のインデックスは抑えましょう。

米国株式

米国の株式から勉強するのは基本的に世界中の株式は米国の株式の値動きに左右されるからです。

ダウとナスダック、S&Pの値動きを過去の値動きをしっかりとチェックしていきましょう。

米国株のおすすめの本は最近ささっと読んだったのですががよくまとまっていたのでお勧めです。

日本株

日本株に関して銀行のお客様にとてもなじみが深いのでコミュニケーションツールとして使うという意味でもしっかりと学びましょう。

日経平均は下げに強く、大きく上がりづらいというような特徴があります。

日銀がETFを購入しているのも理由の一つです。

このことから株より前に金利や債券を通じて金融政策を勉強する重要性がわかると思います。

不動産

不動産も学びましょう。不動産も意識した提案ができないと富裕層相手では話になりません。

不動産は一つ一つの物件ごとに場所や道路の広さ、用途地域、売り手や買い手によって価格が大きく変わります。

しかし需要が上がれば価格は上がります。

その需要をサポートするのは低金利です。なぜなら不動産をキャッシュ一括で買う人は少なく、ローンを組むので金利が低いのはプラス材料になります。

現物

現物に関しての勉強としては正直宅建をまずとるのがいいと思います。

そのあとに不動産投資と不動産を用いた節税・相続対策を勉強するといいでしょう。

現物の価格の規模や住む以外に貸して収益化・節税目的という目線を醸成することが重要です。

REIT

REITは簡単に言うと大量の不動産を溶かして大きな壺に入れた後に、小分けにして世界中の人が買えるようになったものです。

いわゆる不動産を証券化したものを上場させたものです。

値動きは株式のように激しく動くことが多いです。

コモディティ

コモディティとは金や原油、小麦などののことを意味します。

原油や金に連動する投資信託も存在してあったり、運用の世界では比較的一般的な内容となっています。

原油

原油は外交関係や実需に大きく左右されますし、ハイイールド債の価格を左右します。

アメリカのハイイールド債券のうち原油系の会社が多く、原油価格が下がると倒産リスクが大きくなります。

アメリカは世界最大の産油国ですが、採掘コストは中東には負けます。

だからアメリカは中東に圧力をかけ、ロシアと対立します。

このエネルギー問題が原油から再生可能エネルギーに転換し始めると中東との関係も動活きだす可能性が大きいです。

このような背景から見ると外交と原油関係のニュースの理解が深まると思います。

金の特徴として、「無国籍の通貨」などと言われ通貨の価値と逆相関の動きをする傾向にあります。

直近の傾向としてもコロナショックを経てFRBの金融緩和政策によってドル安進んでいます。

一方で金の先物価格は逆に上昇しています。

金価格に連動する投信やETFなどもありますので、通貨と同じくらい金の価格は見ていてほしいです。

先物・オプション

商品を直接買うのではなく、将来、商品を買う権利や売る売買する約束・権利自体を取引することも可能です。

金融機関の方であれば、証券外務員試験で勉強したことがあるかもしれません。

ヘッジファンドなどリスクを取って運用している機関投資家は先物やオプションを活用して利益を最大化しています。

先物

先物取引は、将来の決まった日にある商品の売買を約束することです。

実際の商品代金はその決まった日に受け渡しをすればいいので現金を使わずレバレッジが効いた取引をすることができます。

オプション

オプション取引は商品を売買する権利を売買することを言います。

決まった期間であればオプション料を払うだけで権利を保持しタイミングのいいところで売買することができますので、これもまたレバレッジの効いた取引をすることができます。

テクニカル分析

今までは投資対象の種類とその傾向をファンダメンタルズ分析の目線から勉強できる本を中心にお伝えしてきました。

個人的にはテクニカル分析の方がおすすめです。

テクニカル分析の考え方は、実際の値動き(チャート)にはすべての市場参加者の思惑とファンダメンタルズが反映されているため、チャートを統計学的な傾向をもとに分析するというものです。

頭のいい人が全力で調べて投資していて、自分たちが調べられることには限界があると考えるとテクニカルに分析した方が運用する上で効率が良いということです。

ここでは読む順番に3冊ご紹介します。

まとめ

何度も申し上げますが、マーケットの勉強は実際の相場に接しその中で復習していくのが一番良い方法です。

ただ今回紹介した本のほとんどは銀行員1年目で私が実際に読んだ本で、読んである程度の知識を得て自信をもってお客様にアドバイスができるようになったことは事実です。

本で勉強したから実際の値動きから学ぶことの重要性を知れたということもあるので一度は網羅的に勉強するのもいいかもしれませんね。

営業でお客様の運用のコンサルタントをしている方はこちらの記事も読んでいただけると、なぜマーケットを勉強しなければならないのか、そのほかにもっと学ぶべきことがあるのがわかります。

またマーケットに左右されず大きな収益を取りたい方はこちらの記事もお読みください。私が取り扱った案件をご紹介しています。