目次
結論
お客様の希望のライフプランに合わせて変化するBSとPLを洗い出し、
- 増やす
- 守る
- 繋ぐ
の観点から運用提案を行うこと。
お客様に質問すること
以下の情報はお客様との信頼関係が築けているという前提に立たなければ聞けない内容が多いです。
若さや誠実さ、事務の正確さ、身だしなみ、投げかける質問の質、話が合うかなど様々、信頼関係を築く上で必要なことは沢山あります。
理想は何を聞いても答えてもらえる状態になることです。
財産状況(BS)=現状
今の保有資産をヒアリングしていきます。
イメージとしては医者が体の調子を問診したり、検査機器を使って体内の状態を検査することに近いです。
例えばポートフォリオの大部分が現金になっているのであれば、物価上昇リスクへの対応がなされていないので、少なくとも実質金利を上回るような運用を提案するなど切り口が見えてきます。
保有資産のヒアリングは信頼がないと聞き出すことができませんが、断片的な質問から推測してお客様に質問してみると「なんでわかったんですか?」などのリアクションを貰えることが多いです。
また資産の規模を話をしたくない方は多いですが、資産の内訳=ポートフォリオを話すことはハードルが低いケースが多いので、ポートフォリオと割合を聞き出し、断片的な資産規模の質問から推計する方法が有効であると感じています。
収入とコスト(PL)=将来
個人の場合将来のPLを左右するのは、主に家族とキャリアです。
子供に関連する出費としては学費や子供の結婚資金などが挙げられますし、親であれば介護資金や相続資金などです。
またキャリアに関しても転職希望なのか早期退職したいのか、年収の増減、年金や退職金がでるのかなどを把握する必要があります。
家族とキャリアが大きく関係するのが、住宅です。
転勤の多さや子育て環境の希望、親との物理的距離なども住宅購入の検討材料になり得ます。
家族とキャリアの問題がある程度片付いているのであれば、あとはPLにお客様の夢や希望を載せていくことが重要です。
これこそが一番大事なのかもしれません。
将来カフェをやりたいとか海外旅行に行きたい、孫の教育資金を出したいなど様々な思いを聞き出すことが重要です。
家族とキャリアなどの必要なキャッシュフローとお客様の思いが載った理想のキャッシュフローを統合させて実現可能性を高め、リスクを無くすことが我々の運用提案なのです。
増やす
顧客の将来のPLを予想して、現状のBSと合わせて考えていくとキャッシュフローや資金が足りないことがあり得ます。
足りない分に関しては、仕事での収入のほかに私たちが持てる解決策としては金融商品での運用が考えられます。
まとまったお金を作る
資金を作るというのはここでは子供の結婚資金や住宅の頭金などとします。
一時的にキャッシュフローがマイナスになり、貯蓄が大きく減る可能性があるのでそれまでに少しずつ運用をしていくことでより生活が楽になります。
ここでは例えば定期定額の保険の活用や投資信託・債券での運用などが解決策になります。
期間と資金量のギャップから必要利回りを算出し、商品を決定しつつマーケットに合わせて機動的に商品を変えていくプランを提案しましょう。
ここでのポイントは必要利回りがわかってからすぐに該当するリスクリターンの商品を売って終わりにするのではなく、市場に合わせてアドバイスする担当者としての自分を売ることです。
以下で紹介するのもすべて同じで商品を売るのではなく、お客様の希望を理解してトータルで担当させていただくことが真のゴールです。
キャッシュフローを強化する
キャッシュフローを強化するというのは、ここでは将来の年金、学費などを意味します。
例えば、住宅ローンを35歳の時に35年で組んだ場合65~70歳の時には5年間貯金を切り崩すか年金のキャッシュフローから返済しなければなりません。
そのために個人年金や養老保険、株式やREITなどの好配当投信の分配金、不動産の賃貸収入などのキャッシュフローの作成提案をする必要があります。
まとまったお金をローンなどを活用して、分割しキャッシュフローの一部に入れるというのも一つの提案と言えます。
借金は悪のように考えずにレバレッジを利かせて、一時的な資金の大きな現象を防ぐというアイデアにも使えます。
守る
守ることの対象は、ここでも今ある資産と将来のキャッシュフローの二つに分解することができます。
いわゆるリスクへの対応をするということになります。
現状のBSを守る
現状の資産を守るということは、減るリスクの分析をする必要があります。
冒頭でも記述した実質金利(長期金利-期待インフレ率)がマイナスの場合は現金を持つことはリスクになります。
金利上昇局面ではグロース株を持っているのもリスクです。
現金などの金融資産が多いまま亡くなると相続税が多く取られてしまうリスクもあります。
ここへの対策としてポートフォリオの組み換えで不動産、金融商品、ローンなどを活用して、金融・税制面のリスクに対応していく必要があります。
将来のキャッシュフローを守る
将来のキャッシュフローを守るというのは、減給・退職や死亡、介護などのキャッシュフローが減滅するリスクへの対応をする必要があります。
減給や退職への対応としては転職をすることや先ほどと同様に個人年金や養老保険、株式やREITなどの好配当投信の分配金、不動産の賃貸収入などのキャッシュフローの作成提案などをしていく必要があります。
働ける状況で減滅する分には問題ありませんが、亡くなってゼロになる場合や生きながら働けなくなるマイナスになる場合が非常に問題です。
ここへの対応として終身保険や介護保険、養老保険などが提案として挙げられます。
必要なBSとPLがわかっていてもしここで亡くなる・介護になるリスクを数値でしっかりと理解していただいた上に、相手の感情に訴えることが重要です。
繋ぐ
繋ぐに関しても現状の資産とキャッシュフローの二つの観点から考えることができます。
資産を繋ぐ
資産を繋ぐというのは簡単に言うと相続対策をするということです。
日本の相続税は世界でも高く富裕層の方に関してはかなり気にされるポイントであると言えます。
この対策として、生前贈与や相続時精算課税制度、生命保険の500万円の非課税枠、結婚資金贈与、教育資金贈与の非課税枠、賃貸用不動産を活用した評価減など多くの方法を取ることができます。
ここでは保険やローンの活用など銀行としてのビジネスチャンスが多く潜んでいます。
キャッシュフローを繋ぐ
キャッシュフローを繋ぐに関してはかなり富裕層向けの施策になります。
これはお客様のご子息とお孫さんと絡めた提案になり、今までやってきたキャッシュフローの提案を相続バージョン行うことになります。
例えばキャッシュフローを生む源泉になる資産に関してはなるべく孫などの遠い世代に生前贈与していき、キャッシュなどキャッシュフローを生まないものは子供や配偶者に渡していきましょう。
キャッシュフローの生まないものの場合でも、下の世代が無駄使いしないように贈与した先で親である自分に終身保険を組ませて将来自分の死をトリガーに資産を増やしたり、個人年金保険を加入して子供の老後にキャッシュフローを飛ばすなどの方法があります。
他にも信託を使うことで子供や孫が資産を無駄使いしないように渡し方や時期をカスタマイズすることもできます。
まとめ
考え方は以下の表をもとに自分たちの持てる商品では何を提供できるのかを考えて提案をしていくと有効です。
お客様の資産とキャッシュフローをよくヒアリングし、表の中のどこに課題があるのかを考えてもらい、提案をしていきましょう。
ここで重要なのは、バランスシートとキャッシュフローが企業だけでなく個人の家計にも応用できるかということがポイントになります。
これを学ぶ上でおすすめの本を最後にご紹介して終わりにします。
BS | PL | |
増やす | ||
守る | ||
繋ぐ |